2009年9月9日水曜日

アノニマス・デザインとはなにか:ことばと文脈

「アノニマス・デザイン」ということばはどれほど現実のデザインを説明しうるのだろうか。

試みに日経BP記事検索サービス で、「アノニマス・デザイン」を検索してみた。検索対象には『日経デザイン』、『日経アーキテクチャ』が含まれる。結果、「アノニマス&デザイン」で14件ヒットした。『日経デザイン』のみに限定して検索すると11件である(「アノニマス」でも12件である)。少ない。しかもこの中には本文記事以外(展覧会、書籍等の告示)も含まれる。「アノニマス・デザイン」ということばは、デザインを評価することばとして一般に用いられることはほとんどない、ということになろうか。

……何よりアノニマスな大都会には自由があった。
「ロン・アラッド」『日経デザイン』、1999年12月号、125頁。

……いすや建築といった複雑な構造を持つものでなくとも、アノニマスな日用品の中に美しいものがある、ということを改めて感じさせる。
「TOPICS:電球に光を!」『日経デザイン』、2001年11月号、29頁。

……同じように装飾活字は、だれからも愛される、極めてアノニマスなデザインなのだ。
「言葉を彩り女性を誘う無名の花」『日経デザイン』、2009年4月号、37頁。

だれがデザインしたのか分からないアノニマスデザインですね。すべての製品がある意味、匿名でありたいという、深澤直人さんや佐藤卓さんが唱えているデザインの方向と一致しますね。
「坂井直樹のデザイン経営談義:目立たないノイズレスなデザインを追求」『日経デザイン』、2009年4月号、74頁。

一種の浮遊領域は気象や時間をも織り込んで、アノニマス(匿名)でアモルファス(不規則的)な異種混交の場であった。
「第5回日経アーキテクチャコンペ:講評」『日経アーキテクチャ』、2007年12月24日号、111頁。

そのようなデザインにはアノニマスやスタンダードという形容詞が冠せられ、いずれはデザイナーの個性を超え、ノンデザインの領域に突入するに違いない――。
「TOPICS:未来に向けたビジョンとしてのデザインを探る」『日経デザイン』、2001年4月号、48頁。

エレコムうさぎがアノニマスな存在のままでいるか、NOVAうさぎのように歩き出すのか、期待しつつ見守りたい。
「TOPICS:NOVAうさぎのライバルになり得るか」『日経デザイン』、2003年4月号、23頁。

扱っている商品の特徴●仕上げと質感、シンプル、アノニマス
「特集■家具&雑貨店大全」『日経デザイン』、2004年11月号、76頁。

「……他方、アノニマスデザインの安い家具では飽き足らない人がいる」。
「特集■家具&雑貨店大全」『日経デザイン』、2004年11月号、52頁。

アノニマスなおもしろ屋上 越路龍一氏(P11)が撮り集めた、建築家なしの屋上活用事例。
「屋上活性化計画」『日経アーキテクチャ Next-A』、2006年7月10日号、13頁。

「アノニマスでありながら、生活の中できちんと機能する。無印良品のデザインに対する考え方とぴったり合う」。
「街で見慣れた文字をブランドの顔に」『日経デザイン』、2007年5月号、73頁。

無駄のないアノニマスな家電デザインで注目を浴びた。
「TOPICS:西堀晋氏アップルへ」『日経デザイン』、2002年6月号、54頁。

アノニマスながらも製品が持つ機能に根差した個性を加えることに長けた深澤氏ならば、デザインに新たな方向性を与えてくれると考えたからだ。
「特集■もてなしで築く日本の高級ブランド」『日経デザイン』、2005年9月号、41頁。

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