カプセルホテルでセレブ気分 「ファーストクラス」人気
asahi.com 2009年9月7日19時31分
見出しを見て、いまごろ「9h(nine hours)」の記事かと思ったが、違った。
(記事本文)
幅120センチの広めのベッドと32インチの液晶テレビ――。ささやかなぜいたくが味わえると、4月に開業した大阪・難波のカプセルホテル「ファーストキャビン」が好評だ。
室内は、飛行機のファーストクラスをイメージ。白と紫色の落ち着いた内装で、客室乗務員姿のスタッフが彩りを添える。1泊4800円。時間貸しもある。
出張や観光だけでなく、「家に居場所がないのか、休日に書斎代わりに使う男性もいます」と担当者。一風変わった使い道で、味わえるのは逃避行気分?
→http://www.asahi.com/business/update/0907/OSK200909070059.html
大阪で1泊4800円。9hは京都で4900円。価格的には同じ程度。立地を考慮すると、9hに軍配が上がるかも知れないが、問題は設備である。
コンセプト | ファーストキャビン FIRST CABIN ~カプセルホテルを超えた新しいキャビンスタイルホテル~
ファーストキャビンは、飛行機のファーストクラスをイメージした会員制のキャビンスタイルホテルです。
→http://www.first-cabin.jp/concept/
※ asahi.comの記事にも写真が掲載されているが、念のため、ホテルサイトから引用。
「カプセル」というよりは「ユニット」という構造である。ホテル側も「カプセルホテル」ではなく、「キャビンスタイルホテル」を謳っている。なにしろ、FIRST CLASS CABINはベッドと、小さな机があり、十分な天井高がある。BUSINESS CABINはベッドのみの空間で、3800円。大浴場とサウナ付き。バイキング形式の朝食が300円である。オータムキャンペーンで、朝食付きFIRSTが4480円。
部屋や設備もさておき、「客室乗務員姿のスタッフが彩りを添える(asahi.com)」というのも、なんともマニア心を刺激するではないか(笑)。「柴田文江デザイン」もマニア心を刺激するが、残念ながら一般受けするポイントとは言い難い。そしてこのホテル、デザインも9hに負けず劣らず、かなり頑張っている(部屋番号の書体はChicagoか)。
ホテルサイトによれば、8月4日にはテレビ東京系列「ガイアの夜明け」で紹介されたとあるが、このホテルと9hとの比較を書いたブログ記事は眼にしていなかった。あるのかしらん。私は知らなかった。
デザインはあらゆる問題を解決できるのか、と柳本氏は問うていたわけだが(こちら)、ひょっとすると解決するかも知れない、と思ったりもする(自信はない)。少なくとも、この事例は既存のカプセルホテルとビジネスホテルの間を埋めることに成功しているのではないだろうか。
Fuji Sankei Business iにも記事が出ていた。
【キラリ!成長企業】ファーストキャビン カプセル泊まりに上質の眠り
2009/7/14
(前略)
「ウチで活躍してみないか」。新社屋建設の仕事が縁で彼女[小俣満理社長]の働きぶりを目にした大手建築設計事務所のプランテックグループ(東京都千代田区)の大江匡(ただす)会長が白羽の矢を立て、昨年3月、新規参入を目指していたカプセルホテル事業に誘った。だが簡単には首を縦に振らず「従来と同じでは差別化できません。やるからには全く新しい業態を」と逆提案した。国内航空路線の“スーパーシート”をヒントに「プラス1000円で監獄のようなカプセルホテルでは味わえない高級感を提供する」というビジネスモデルだ。
大江会長も熱意に根負けした。動き出したら止まらない。カプセルベッド最大手のコトブキ(同)と手を組み、高さ、幅、奥行きとも2.1メートルでちょうど従来の4個分の専用居室を開発。今年4月、大阪・難波に新業態「ファーストキャビン」の1号店をオープンした。1泊4800円で各室に32型液晶テレビやネット接続の設備を整え、上質感を演出した共用の浴場やサウナも完備する。最初は準備会社の社員で入った彼女も“言い出しっぺ”の責任からオープンと同時に社長に就いた。
1号店は女性専用エリアも設け、女性の単独利用者も集め、すぐ満室になる日も少なくないという。「無料の会員登録で携帯電話やパソコンからのネット予約も可能で、繁閑に合わせた柔軟な価格でも利用できる」。今や利用客の半分は割安な料金帯などを狙った予約が占めるという。今後は温浴設備が使える都心のフィットネスジム撤退後の「居抜き物件」などで出店コストを抑え、今年度中に東京都内を含めて計3店、5年後に50店のネットワークを築く考えだ。(後略)
→http://www.business-i.jp/news/venture-page/news/200907140006a.nwc
9hは既存のカプセルホテル運営会社からの提案であったのに対して、ファーストキャビンは新規参入組とのこと。アプローチの相違はそれぞれが設定した問題の違いにあったとみてよいだろう。はたしてどちらの回答がより高い価格付に対して説得力を持っているだろうか。
カプセル・ホテル
→http://tokyopasserby.blogspot.com/2009/08/blog-post_22.html
カプセル・ホテル:問題解決手段としてのデザイン
→http://tokyopasserby.blogspot.com/2009/09/blog-post_03.html
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