2011年3月29日火曜日

クリエイションギャラリーG8:
亀倉雄策賞の作家たち1999-2010



亀倉雄策賞の作家たち1999-2010
クリエイションギャラリーG8
2011年2月22日(火)~ 3月25日(金)

戦後日本のグラフィックデザインの礎を築き、東京オリンピックポスターをはじめ数々の名作を残した、故・亀倉雄策氏(1915~1997)。氏の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として1999年に「亀倉雄策賞」が設立されました。本展は、歴代の受賞作家の作品を一望する初めての展覧会です。第1回から第12回(2010年)までの「亀倉雄策賞」の11名の受賞作と近作、そして「亀倉雄策国際賞」の海外作家4名の作品をご紹介いたします。この10年のグラフィックデザインを代表する作品の数々を、ぜひご覧ください。

庭園美術館での展覧会に出品されていたポスターのほとんどが非商業的なポスターであったという話(→こちら)の続き、です「亀倉雄策賞の作家たち1999-2010」展の作品も同様でした。商業的なグラフィックはほとんどありません。

過去12回の受賞作品リストは以下の通り。

第 1 回 田中一光 「サルヴァトーレ・フェラガモ展:華麗なる靴」ポスターほか

第 2 回 永井一正 個展「Life」ポスター
第 3 回 原研哉 『紙とデザイン』ブックデザイン
第 4 回 佐藤可士和 CD「Smap」発売告知ポスター
第 5 回 仲條正義 個展「仲條のフジのヤマイ」ポスター

第 6 回 服部一成 『流行通信』ブックデザイン

第 7 回 勝井三雄 作品集「視覚の地平 visionary ∞ scape」ポスター
第 8 回 該当作品なし
第 9 回 松永真 「ISSIMBOW “Katachi-koh”」パッケージ
第10回 佐藤卓 21_21 DESIGN SIGHT 企画展「water」VI、ポスター、会場デザイン

第11回 植原亮輔 「THEATRE PRODUCTS」グラフィックツール
第12回 浅葉克己 「ミサワ デザイン2009 バウハウス」ポスター

純粋に商業的なグラフィックは、佐藤可士和氏の「Smap」プロジェクトぐらいでしょう。服部一成氏の仕事はエディトリアルであって、広告ではない。松永真氏の「ISSIMBOW “Katachi-koh”」パッケージは、松永氏自身がデザインディレクターを務めるお香のブランドの仕事。これは商業的グラフィックに含まれるでしょうか。植原亮輔 「THEATRE PRODUCTS」はファッションブランドのためのツール類。これらを除くと、展覧会ポスターか、デザイン書の装幀です。


展覧会サイトより。

では、「亀倉雄策賞」とはどのような賞なのか。

亀倉雄策賞について
賞の運営と選考は、亀倉氏が設立から長く会長を務めた、社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)と、亀倉雄策賞事務局で行っています。「亀倉雄策賞」は毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から最も優れた作品に、「亀倉雄策国際賞」は3 年に一度、富山県立近代美術館で開催される「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」の応募作品の中から、最も優れた作品の制作者に授与されます。
亀倉雄策賞の作家たち1999-2010 リクルートの2つのギャラリー

「『Graphic Design in Japan』出品作品の中から最も優れた作品」ということです。では『Graphic Design in Japan』とは何か。

アジア最大のデザイン団体・JAGDAが、1981年より発行している年鑑『Graphic Design in Japan』。毎年、厳正な選考の末、自信を持って推薦する作品群を豊富な図版で紹介しています。1,000点以上におよぶ図版を、各作品の制作目的とともに、カテゴリーごと氏名50音順に掲載。また、全JAGDA会員の都道府県別名簿(メールアドレスとURL含む)に加え、コピーライター、フォトグラファーなどのインデックスも収録。世界に誇る日本のグラフィックデザインの粋を集めつつ、データベース性も持たせた、他に類を見ないデザイン年鑑です。
JAGDA:Graphic Design in Japan 2010

『Graphic Design in Japan』にはまだあたっていませんので、もともとの収録作品のどの程度が非商業的グラフィックなのかは分かりません。追って調べてみましょう。

* * *

そもそもこの展覧会のタイトルにある「作家たち」という言葉にもひっかかります。と思っていたら、次のようなtweetが。



なぜ「デザイナーたち」ではないのでしょう。「作品」ということばも難しい。英語のworkは、もっとニュートラルなイメージなのですが。制作物、仕事……。アートっぽくない、良い言い回しはないでしょうか。

くれぐれも言っておきますが、亀倉雄策賞の受賞作品が優れていないということではありません。そうではなくて、このような場でなぜデザイナー本来のビジネスが評価されにくいのだろうか、という疑問です。デザインは、デザイナーは、どこを目指しているのでしょう?

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