→戸板関子:家庭顧問(1)
→戸板関子:家庭顧問(2)
戸板関子先生はいつも真摯に回答されるのだが、連載が続くにつれて戸板先生の学校に直接手紙が来るなど、困った事態も生じていたようだ。
『読売新聞』1920年9月29日朝刊04面、家庭顧問:戸板關子
1920年9月29日
學校に直接往復はがきや切手封入でいろいろのことを御問い合せになりますが、直接には一切御回答いたしませぬ
そればかりではなく、なかにはこれはあんまりではないか、という内容の相談事も見受けられる。
1920年12月6日
【問】日本酒の善悪を完全に試験する法を御教示下さい(SY生)
そんなこと、聞かれてもねぇ。質問者がどういう意図をもって尋ねているのか興味あるところである。もしも専門家なら聞く相手を間違えていると思うし、そうでなければ、「完全に試験」してどうしようというのか。
1920年11月26日
【問】御召セルに汚點[しみ]がつきました家庭で何んとかなりますまいか(しも子)
【答】汚點抜には種々の方法があり、其の汚點に依りまして抜き方にそれぞれの方法、差別がありますただお召セルの汚点では、御答へが致し兼ねます
至極真っ当な回答である。
1924年8月7日
【問】私は今年で二十四歳の青年職人ですが無一文で別家致しました職人で一生を終わり度くないと考へてゐます。私に無条件で金二十円くらいお貸し下さる方は有りませんでせうか(二十四歳生)
【答】ご希望の件は話が余り漠然として居りますから到底出資者はなかるべしと思ひます
「よみうり婦人欄」には場違いであるし、あんまりな質問内容である。ただ戸板先生が冷たく一蹴しているのが愉快である。
さて、これらのような、他人から見るとどうも困った質問をあえて掲載しているのは、こんな質問を送ってくれるな、という読者への牽制だったのかもしれないとも思うのだが、どうだろう。
この項つづく(☞ こちら)。
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