建築家白井晟一の展覧会。見る予定もなく、予備知識もなく、銀座での所用後に時間があったので見るといういつものパターン。
知識がないのも恥ずかしいが、知ったかぶりするのももっと恥ずかしい。白井についてはwikipediaにも詳細な解説がありますので、ご存じでない方はそちらをご覧ください。atokで「しらいせ」まで入力したところで「白井晟一」を予測変換候補に挙げてくれたのにはびっくり。
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私の好みとしては、前期の木造建築よりも親和銀行本店など、一連のRC建築に興味惹かれます。白井は九州に拠点を置く親和銀行の本店関連建築を初めとして、支店もいくつか手掛けているようです。白井建築の思想の源泉が今回の展覧会の主題ですが、私としては親和銀行がなぜ白井に建築を依頼したのか、という点に興味があります。本店ばかりではなく支店の建築も白井に依頼することで、はたして経営者は白井建築を親和銀行のヴィジュアル・アイデンティティにしようとする意図があったのでしょうか。かつてイギリスの鉄道会社やロンドン市交通局が駅舎の建築において意図したように。
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これまた知らなかったのですが、渋谷区立松濤美術館も白井晟一の作品だったのですね。
松濤美術館といえば、エントランス前、上の写真には写っていませんが右側の壁に窪みがあり、そこに手洗い(らしきもの)が設置されています。
水が出るのか、そもそもどうやって水を出すのか、分かりません。
このコック、似た石膏型が展覧会に出品されていました。
同じものでしょうか。
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今回の展覧会を見て気がついたのは、このタイプの手洗い(?)が白井の他の建築でもいくつか用いられていることです。
ひとつは煥乎堂。群馬県の書店です(現存しません)。
エントランス脇にもう少し縦長ではありますが、ほぼ同一意匠の手洗いがあったようです。写真のみ展示されていましたが、足下の壁には水栓の元コックが見えましたので、手洗いとして機能していたのでしょう。
もう一つは、親和銀行大波止支店(長崎市)です。出品されていた図面に同様の手洗いが書き込まれています。さらにその仕様については「詳細別示」とあり、白井のこだわりが感じられます。
そして、なぜか松濤美術館の1階平面図にはこの手洗いは示されていませんでした。
なぜエントランスに手洗いなのでしょう。
白井のその他の建築でも用いられているのでしょうか。
白井はこのモチーフをどこから引用したのでしょうか。
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