| waseda | oct. 2009 |
寄藤文平「KIT25」展
2009年9月24日(木)~10月25日(日)
@btf(勝どき)
→http://www.shopbtf.com/at/tenran_090924.html
バタフライ・ストローク(中央区新富1)が勝どきの倉庫ビルで運営するセレクトショップとイベントスペース「@btf」(勝どき2、TEL 03-5144-0330)で9月24日より、アートディレクター・寄藤文平さんによるイラストレーション展「KIT25」を開催する。
日本たばこ産業「大人たばこ養成講座」や、リクルートのフリーマガジン「R25」のイラストのほか、池谷裕二さん、糸井重里さん著「海馬」の装幀などで知られる寄藤さん。多くの広告や著書を手がけてきたが、今回初となるイラストレーション展の開催を迎える。
同展では、東京メトロのマナー広告などのイラストレーションや「R25」のイラスト画を展示するほか、同展のポスター(50,000円)や寄藤さんのイラスト入り2010年特製カレンダー(2,500円)、アーティストとのオリジナルコラボTシャツ(1万7,000円)などのグッズ販売も行う。
「R25」でおなじみのイラストレーター初個展-勝どき「@btf」で - 銀座経済新聞
→http://ginza.keizai.biz/headline/1012/
恥ずかしながらお名前は存じ上げませんでした。「R25」の表紙イラスト、JT、東京メトロのマナーポスターシリーズは印象に残っています。公共広告のインパクトは非常に大きいですね。
1973年長野県生まれ。
1998年ヨリフジデザイン事務所、2000年有限会社文平銀座設立。
Bunpei Ginza Ltd.
→http://www.bunpei.com/
作品から想像していたよりも若い方です。シニカルなタッチから、もう少し年配だと勝手に思っていました。
展覧会タイトルの「KIT25」は、
このイラストレーションが、水平線に対し、斜めに走る直線の角度が25度になる二等角投影図法(ダイメトリック)で、描かれていることに由来します。
……
この角度は、奥行きと全体像を同時に表せるという点でとてもバランスが良い角度で、シミュレーションゲームなどでも採用されています。全てのパーツが、この角度を基準に制作されており、当初は25度キットと呼んでいました。
(展覧会ブックレットより)
このシステムによって、寄藤氏はイラストレーションのためのパーツ/KITを開発したのです。
自由に構成できるユニット式のキャラクターというと、グルーヴィジョンズの「チャッピー」を思い出します。ただ、KIT25の場合は、人物だけではなく、ディメンションを併せてキット化した点がとても面白い発想です。規格は共通化されており、組み合わせることで、さまざまな空間を作りあげることができるのです。
そればかりではありません。このKIT25はビジネスとしても興味深い試みになっています。KIT25は「貸し出し方式のイラストレーション」なのです。著作権は寄藤氏が持つ。
そういってしまえば、単なるキャラクタービジネスのようですが、ちょっと違います。クライアント(エディター)には、キットとしてイラストレーションが「貸し出される」。クライアントはそれを自分で自由に組み合わせて展開していいのだそうです。
もちろん、あらゆるシーンに対応できるキットが揃っているわけではないのですから、クライアントの求めに応じてパーツは追加されてゆく。ただ、人物は人形のように関節を動かせるように造られているそうです。
通常のオーダーメイドのイラストレーションという側面と、キャラクタービジネスの側面が混じり合っています。ただ、オーダーメイドであっても、使われたキットは作者のもとに戻ってくるのです。ですので、それはまた別の仕事に「貸し出す」ことができる。
「2000年に解説図用に考案」して以来、10年間で「1000個近いアイテムと、数え切れないパーツ」がそろったそうです。展覧会場で販売されている特製ブックレットにはその数々が収録されています。
展示作品と会場風景はこちらで紹介されています。「デザイナー、イラストレーター(志望含む)、編集者必見」だそうです。
寄藤文平氏 初のイラストレーション展「KIT25」@btf (フクヘン。- 雑誌ブルータス副編集長、鈴木芳雄のブログ)
→http://fukuhen.lammfromm.jp/2009/10/kit25btf.html
寄藤氏へのインタビュー(2006年)
GA info.:creator's file :寄藤文平
PDF版
→http://biz.toppan.co.jp/gainfo/cf/yorifuji/cf_14_1.pdf
→http://biz.toppan.co.jp/gainfo/cf/yorifuji/cf_14_2.pdf
寄藤氏へのインタビュー(2007年)
第3回 寄藤 文平|憧れのあの人は、どうやってあの仕事に就いたの!? | アートスクールガイド(※サイト入り口は閉鎖されていますが、記事は生きているようです。)
→http://school.bijutsu.co.jp/artist/interview/03/20070622/
→http://school.bijutsu.co.jp/artist/interview/03/20070629/
→http://school.bijutsu.co.jp/artist/interview/03/20070706/
こちらも。
寄藤文平「クリエーターズ・インタビュー」 株式会社イー・スピリット
→http://www.c-interview.com/13.html
寄藤 文平、待望のインタビュー(portfolio 全国のクリエイターが創る一冊のアートブック:おそらく2006年)
→http://www.designerbank.net/service/interview/yorifujibunpei.html
話はヨコにそれますが、寄藤氏へのインタビューを読み比べてみると、もちろんスペースや時間の都合もあるのでしょうけれども、インタビュアーの才能の違いが分かります。同じような質問内容でも、相手から引き出される言葉がまったく違うのです。GA info.とアートスクールガイド(美術出版社)のインタビューがお勧めです。
会場では寄藤氏の手書きイラストメモが多数販売されいます。小さいもの105円、A4判1050円。サインはないとのことですが、コレクターの方は是非。
| waseda | oct. 2009 |
※今回のエントリは文体を「ですます」にしてみました。
※ブックレットなどの記述を参考に書いていますが、一部筆者の解釈も含まれています。
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