2012年9月17日月曜日

親友からの手紙


君、頭がクシヤクシヤする時は『平凡』を讀みたまへ。手当たり次第にあけて、五頁でも十頁でも讀むさ氣分はさらりと晴れて來るよ。
妻君がふさぎ込んでゐる時は、何も言はずに、ポんと『平凡』を放り出したまへ。間もなく妻君はニツコリ笑つて君の方を振り返へるよ。
隣り近所の人氣者になりたくないか。祕訣を一つ教へやう。『平凡』を一冊買つて來て、順々にお貸し申すことだたゞ、それだけだよ。

『読売新聞』1928年11月10日、朝刊11頁。



2 件のコメント:

  1. 3行目は「讀む“と”」でしょう、全国紙なら。
    「さ」の後に句点が付けば話は違うけど。
    6行目は「ポ“ン”」とカタカナ。
    最後の行は「申すことだ。たゞそれだけだよ。」
    以上、文字校終了。これ本当の意味の誤植ですね。
    でも当時の語法はよくわかりませんが。

    僕は『明星』の方が好きだったな(笑)。

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  2. やっとかめさん、校正ありがとうございます。
    のちほどタイムマシンに乗って編集部にお伝えしてきます(笑)。

    私も当時の語法はよくわかりませんが、1行の字数が決まっているのと、句読点のぶら下がりがなく、本来入るべき句読点が省略されてしまうこともあるようです。この場合は「讀むさ」のところでしょうか。

    「ポん」はなかなかいい感じなので真似してみようかと(笑)。

    ところで私はなぜか『平凡』も『明星』も読んだことがないんですよね。食堂や床屋でも読んだ記憶がありません。

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