フェミニズムが社会的潮流となっていた近代ヨーロッパにおいて、特に1920年代以降、家庭生活の現場での女性の労働を少しでも改善しようとする道具、家具、機器、デザインが次々と開発され、現在にまで繋がる合理的生活スタイルの原型が提案されました。そういった動きの中で、バウハウスも女性を家事労働から解放するための、機能的な空間としての新たなキッチンとその周辺器具も提案していました。本展では、バウハウスのキッチ
ン関連の作品を紹介し、新しいデザイン、新しい女性像、新しい生活様式の歴史的意義を問い直そうとするものです。(展覧会サイトから抜粋)
バウハウスと女性に焦点を当てた展覧会。どちらかというと男性的なイメージが強いバウハウスですが、そこに学ぶ多数の女性がいたこと、また女性のための道具、キッチンなど家事にまつわる装置もデザインされていたことを紹介しています。
みどころは、実物大で再現されたマイスターハウスのキッチン。このミュージアムは再現モノが得意ですね。調査時間も費用もかなりかかると思いますが、すばらしい。再現された空間に入ると、機能性という思想もよく理解できます。なお、展示の詳細については、exciteで紹介されています。
再現されたキッチンのみ撮影可能だそうです。カメラも持っていたのですが、観覧者が比較的多かったので遠慮してしまいました。
* * *
じつはバウハウスについては良く知りません。美術予備校時代、まわりの連中がふたこと目には「バウハウスでは」という中、ひねくれ者は距離を置いていたのですが、それは単なる勉強不足の言い訳です。分からない、知らないということが分かったことが今回の収穫です。すみません、これから勉強します。
展示は「バウハウスと女性」をふたつの視点から構成しています。ひとつは、バウハウスで学んだ女性たち。織物工房の多数を女性たちが占めていたことの紹介。もうひとつは、キッチンや食器など、女性をターゲットとしたプロダクトの紹介です。正直なところ、見ていたときはこのふたつの関連がよく分かりませんでした。創り手の話と、消費者の話を「女性」というキーワードでくくってしまうのはやや乱暴ではないかと。
しかしこれは「バウハウス」という視点だけで見ているから、そう思うのですね。この展示の背景には、大戦間期のヨーロッパにおける「女性の社会進出」という現象があります。ここでは繊維工房の事例に限定されていますが、女性たちが学ぶ場の変化、働く場の変化があり、その流れの中に、主に女性が担ってきた家事を合理化しようという思想も現れる。そう考えれば、ここで取り上げられているものはバウハウスという狭い世界だけれども、その中にも創り手としての女性にも、消費者、家庭人としての女性像にも変化が生じていたことを見ることができるのです。
* * *
汐留はクリスマス・イルミネーションの準備中でした。
11月16日火曜日から点灯されるようですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿