2010年6月26日土曜日

ラメラ ラメラ ラメラララ

日本カメラ博物館の展覧会で出会った河野鷹思氏デザインのカメラ付きラジオ/ラジオ付きカメラ、「ラメラ」。


製造元の興和の社史によれば、斬新なアイデアの製品でありながらも、商業的には失敗に終わってしまったとのこと。


『アサヒカメラ』のバックナンバーに、当時の記事と広告を見つけました。

最初は「新製品メモ」から。



カメラとラジオの両用機
ラメラ


カメラとラジオを一緒にしたものが、興和光器から発売された。大きさは市販の超小型ポータブル・ラジオを横に3センチほど伸ばしたくらいで、つまりその部分にカメラの機構が入っていることになる。
カメラは16ミリ豆カメラで、レンズはプロミナー23ミリF3.5(3群3枚)、シャッターはギロチン式の50、100、200の三スピードとB、シンクロはX接点である。ファインダーは逆ガリレオ方式の倍率0.4倍で、10×14ミリの画面が20枚撮れる。フィルム送りは底部におさめられているツマミを起こしてから、下方に引っぱると、フィルムが一枚送られると同時に、シャッターがセットされる。フィルムカウンターは自動復元式。ミノルタ16用のフィルムをそのまま使えるようになっており、側面のフタをはずして入れるようになっている。絞とシャッター速度変更リングは側面にあり、またシャッター・ボタンは底面にある。専用マガジンが付属している。ラジオの方はトランジスター6石式で、中波用。2 1/4インチ・スピーカー内蔵で、使用電池は9ボルト積層1個、連動使用時間は約80時間といわれている。マグネチック・イヤホーン付属。
全体の大きさは145×72×35ミリ、色はクリーム、赤、ブルーの三色でいずれもツートンカラー。(価格 一万二千八百円)

『アサヒカメラ』1959年10月増大号、212頁。


だそうです。

次に、広告を探します。『アサヒカメラ』の目次には広告索引が付いているのですが、「興和」で探してみてもラメラの広告は見つかりません。ところがパラパラめくっていてたまたま開いたページがラメラの広告! 

『アサヒカメラ』1959年11月号、133頁。

でかっ! 女性の手と大きさを比べてみてください。興和の社史には「行楽の際に聴きながら写すという使われ方を想定」とありました。ハイキングの1シーンでしょうか。服装、靴とともに、無理があると思います。

さて、広告主は「株式会社美篶(みすず)商会」。「興和」を探しても見つからないはずです。美篶商会はカメラ写真器材の商社で、2004年に解散したとのこと。


『アサヒカメラ』には、1959年11月号から1960年3月号まで、5号連続で美篶商会が「ラメラ」の広告を出しています。

1959年12月号のテーマは「クリスマスプレゼント」。

『アサヒカメラ』1959年12月号、135頁。

1960年1月はお正月バージョン。なぜか2月も同じ内容。

『アサヒカメラ』1960年1月号、159頁。

そして1960年3月のテーマは「アイススケート」。

『アサヒカメラ』1960年3月号、207頁。

「ウィンタースポーツのお供に*写す喜びと聴く楽しさが一緒です」という文字のレイアウトも楽しい。

『アサヒカメラ』に掲載されている広告の多くがスペックを中心とする内容であるのに対して、利用シーンを前面に押し出した「ラメラ」の広告は、なかなかステキではありませんか。

たとえば本家「興和」のカメラ「カロ140」の広告と比べてみましょう。

『アサヒカメラ』1960年1月号、133頁。

いかがでしょうか。

サテ次なる疑問。ラメラの広告も河野鷹思氏もしくはその事務所が手掛けられたのでしょうか?

* * *

0 件のコメント:

コメントを投稿