田町駅の北側、そばを通る京浜東北線の車窓からもよく見える本芝公園。かつては線路をくぐってこのあたりまで東京湾からの運河が続いていたそうです。
線路の向こう側の運河はまだ残っていますが、こちら側はとっくに埋め立てられ(昭和45年とか)、公園になっていたようです。2003年頃に再開発が始まり、周囲に取り残されていた古い街並みが取り壊されて、現在は高層マンションが建ち、往時の面影はほとんど残っていません。
古い家の取り壊しがほぼ終わった頃、2003年6月に撮影したこの場所の写真が出てきましたので、少しばかり現在の風景と対比してみましょう。といっても、残っているものがほとんどないので、この街を知らない方には面白くも何ともないかも知れません。末尾に撮影地点の地図を載せておきます。写真下の丸数字と対応しています。
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上は、現在マンション(カテリーナ三田)が建っているあたりから、国道15号の側のビルを望んだ風景です。まだ取り壊し途中の建物が少し残っています。向こうのビルはほとんど変化がありません。KSBやDHCの看板がなくなりましたが、マンションが建って電車からの視界が完全に遮られてしまったからでしょう。2010年の写真の撮影場所は、おそらく重機が置かれているあたりです。背後はマンションの壁なので、これ以上さがることはできませんでした。
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取り壊された家屋と家財道具の瓦礫が積まれていました。ここも撮影地はマンションのど真ん中で、立ち入ることができません。少し離れたフェンス越しに、それらしき方向を撮影。ちなみにフェンスの手前はこんな感じ(↓)。
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正面の東海道線をくぐる隧道と右側の白い家は変わりませんが、周囲はすっかり整備されました。路地の真ん中辺には幅の狭い線路がありました。向こう側から振り返ってみた写真が↓です。
かつて船を引き上げるために使われていたものではないかと推測したのですが、どうでしょう?
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再開発地域の南端には御穂鹿嶋神社があります。この神社も2006年に建て替えられています。社殿の写真は撮っていなかったのですが、狛犬の写真がありました。由緒正しいらしいですよ。
遠景の写真がないのではっきりしませんが、2003年の写真では阿形が左側に置かれている?
こちらは、神社の裏手、国道15号から入ったところに置かれていた狛犬です。前足はコンクリートで継ぎが当てられ、後ろ足には包帯が巻かれ、可哀想な状態でした。しかし、社殿が建て替えられた2006年にはこの狛犬もほぼそのままの姿で新造されて、元の場所でにらみをきかせています。背景に見える進入禁止の看板などは現存しています。
これらの狛犬の由来については、やっとかめさんのウェブログに詳しく書かれています。
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冒頭のビルのように、変わった場所もあれば、ほとんど変化しない場所もあるわけで。
旧海岸通り方面に細い道を歩いていったあたりは、店こそ入れ替わっているところもありますが、街並み自体にはそれほど変化はなさそうです。
おでんと焼き鳥の店はインド料理店に変わっていました。
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街の風景は簡単には変わらないと思いこんでいて、でも実際に変わり始めるとあっというまに見知った姿が失われてしまうわけです。今回写真を整理していて、もっと早くから撮っておけばとか、もっといろんな角度で撮っておけば、と思ったりするわけですが、なかなか難しいですね。
ありがとうございます。
返信削除おかげで記憶の誤差を修正できたように思えます。
今の景色を見慣れてしまうと、
数年前のことなのに忘れてしまうんですね。
マンション工事中は、通行止めや
歩き難くて通らない時期も長かったので。
写真3の中央の半壊二階建てはボロい喫茶店で、
立ち退き拒否でそのまま営業するのかな
と思ったらかなり後になって取り壊したんですね。
建て替え工事前の狛犬は中国獅子像のように
阿吽共前を向いて並んでいたんです。
お互い向き合うような位置関係で。
もちろんそれは間違い。今が正しい。
それもあって、狛犬通は今の獅子山型にも
疑問を感じてるんでしょうね。
やっとかめさん
返信削除ほんとうに大した写真がなくてすみません。
わずか7年前ですよね。私は電車の車窓からいつも見ていましたが、じっさいに街が生きていたころに足を踏み入れたことはないのです。
なるほど狛犬はいずれも常識にとらわれない(?)置き方がされていたのですね。わたしも面白いと思ったから写真を撮っておいたのだと思います。やっとかめさんの写真をみるまで、忘れていました。