2010年2月23日火曜日

「方丈」秋田道夫のライフスタイル展


「方丈」秋田道夫のライフスタイル展

2010年2月11日(木・祝)〜2月21日(日)

デザイナーにとってどういう場所で仕事をするのが最適なのか。その答えは無限にあることを考えるきっかけになってもらえばと思い自分の「日常空間」を展示する事にしました。(案内ハガキより)


昨秋、青山のユトレヒトギャラリーで開催された「新東京百景―信号編」につづいて、秋田道夫氏の「展覧会」を訪ねました。

最終日の日曜日、日も暮れかかった時間です。
会場に入って、ちょっと戸惑います。前回は「信号機」という巨大なプロダクトが部屋の中央にあり、周囲には写真が貼ってあるという、モノの展覧会だったわけです。今回は全く違います。ハガキの文面にもあったとおり、「日常空間」が展示の主役です。日常空間といっても、秋田氏にとっての日常で、他の人にとっては非・日常です。

仕事場を展示する、という展示は、美術展では比較的よく見ます。なんでしょうか、その人の使っている道具、その人の作品が生まれる場には、やはりものを生み出すためのその人の哲学が現れているということなのでしょう。

あの人はどんな本を読んでいるのか。あの人はどんな店に訪れるのか。作品とか、プロダクトとかへの評価とは直接関係ないのかもしれないけれども、作品やプロダクトを知ると、逆にそういったことまで知りたくなる。想像するに、秋田氏自身そういうことへの好奇心があるのでしょう。

展示されていたのは、秋田氏が仕事で使用しているデスク、チェア、Mac、ホワイトボード、棚。
秋田氏がデザインしたステーショナリー。冷蔵庫と洗濯機。
これに加えて、加藤孝司氏による写真。

仕事場を完全に再現した、という感じでもなく、淡い青緑色の壁もあってやや冷たい感じ。加藤氏による写真を見るに、じっさいの仕事場はもっと雑然としているように思われます。デスクに置かれたノートにはカトラリのスケッチ。そしてなによりも、秋田氏のウェブログのタイトルにもなっているホワイトボードがいいですね。

秋田氏のウェブログでは、今回の展覧会に関連したエントリで「さしあたって愛用品が無いと仕事には不便だということがわかりました」(→こちら)と書かれています。ならばいっそこの場でお仕事をされてみても良かったのではないでしょうか。豊穣な作品が生み出される方丈の空間と、プロダクト・デザイナーの公開デスクワーク。そういう場面も見てみたかったです。


秋田道夫氏のウェブログ
http://www.michioakita.jp/whiteboard/

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たとえば田中一光氏のデスク。回顧展での展示。

田中一光氏のデスク
『田中一光回顧展―われらデザインの時代』、朝日新聞社、2003年、34-35頁。

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