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最初は滝の絵。
明治31(1898)年の広告です。
神経腦病の新配劑
快腦丸[くわいのうぐわん]
燒[やく]が如き夏の日に綠なす木蔭に千丈の瀧を見上て忽ち暑さを忘るゝが如く永年の腦病も忽ち治して精神涼しくなるの良劑[くすり]なり腦充血腦膜炎を初め頭痛[づつう]眩暈[めまひ]逆上[のぼせ]等の輕きは直[ただち]に全治す
滝を見て暑さを忘れるように、《快脳丸》を服用すると精神が涼しくなる、ということのようです。
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続いて、《健脳丸》のマークにも似たシルエット。
明治32(1899)年のものです。
神経脳病之藥
快[くわい]腦[のう]丸[ぐわん]
本劑[このくすり]は腦充血、腦膜炎、神經痛、脊髄病、頭痛、逆上、眩暈、耳鳴、頭手足のしびれひきつり等を全治[なほ]す
とくに面白いコピーでもなく、淡々と適応症を述べているだけですね。
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明治32(1899)年2月。
「馬鹿であります」。
これについては先のエントリで記したとおりです。強烈なコピーですね。
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そして最後はなぜか上野の西郷さん。
腦病者の紀念
古今[こゝん]の神法[しんぱふ]にて從來[これまで]腦病神經病を始め頭痛[づゝう]、逆上[のぼせ]、癲癇[てん]、耳鳴[みゝなり]、不眠症[ねむいれず]、顔手足志びれひきつり等の人を數多[あまた]全治[なほ]し其能力を敏活[びんわん]ならしめし良剤[よきくすり]
快腦丸[くわいのうぐわん]
なぜ西郷さん? なぜ「腦病者の紀念」?
というわけで、意外にふつう。少なくとも新聞紙上では、あの強烈なコピーが繰り返し使われていたわけではなさそうです。
さて、《快脳丸》を発売していたのは《脳丸》と同じ山崎帝国堂です。《快脳丸》の広告はこれ以降検索にヒットせず。おそらく山崎帝国堂の商品が《脳丸》にシフトしたのではないかと思われます。
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