2011年5月14日土曜日

ラフォーレミュージアム原宿:
ヘンリー・ダーガー展



ヘンリー・ダーガー展
アメリカン・イノセンス。純真なる妄想が導く『非現実の王国で』
2011年4月23日(土)~2011年5月15日(日)
ラフォーレミュージアム原宿

ダーガーの作品を最初に見たのは1997年。資生堂ザ・ギンザ・アートスペースでの展覧会で、であった。下はそのときの記事。

アウトサイダー・アート―ヘンリー・ダーガーが生んだ少女たちの王国
16日までの午前11時―午後7時(日曜・祝日は午後6時まで)、中央区銀座7の8の10のザ・ギンザビル地下1階、ザ・ギンザ・アートスペース。無料。孤独な幼年期を過ごした男性が生涯描き続けた、少女を主人公とする絵物語。作品十四点とともに、ダーガーの過ごした部屋の様子も写真で紹介する。
『朝日新聞』1997年2月4日、朝刊、22頁。

強烈な印象であった。

その後ダーガーの展覧会は2002年にワタリウムで、2007年に原美術館で開催されているが、見に行っていない。
いや、ワタリウムには行ったかもしれない。記憶が曖昧だ。

作品については展覧会サイトも含めいろいろなところで紹介されているので、私が書くまでもない。倒錯的な世界観は印象に残っていたとおりであったが、暴力的なシーンは記憶していなかった。もっとも、今回日本初公開の作品が多数ある(64点中21点)。必ずしも記憶違いではないかもしれない。

今回の展覧会は、ヘンリー・ダーガーという人間と彼の作品世界に焦点を当てている。彼が作品を制作するために用いた特殊な技法——雑誌などの切り抜きからのトレス——についてはごく軽く触れられている。

* * *

じつは今回の展覧会で最も印象に残ったのは、大伸ばしにされたダーガーの部屋の写真であった。


『Henry Darger's Room 851 Webster』インペリアルプレス、2007年4月、7頁。

暖炉の手前に剥き出しのまま積み上げられたレコードの山。


『Henry Darger's Room 851 Webster』インペリアルプレス、2007年4月、7頁、部分。

ダーガーの部屋には蓄音機があった(下の写真の中央)。
そしてその隣に、もうひとつの機械。
これはおそらくディスク・オルゴールの再生機。


『Henry Darger's Room 851 Webster』インペリアルプレス、2007年4月、23頁。

さらに隣の台にはオルゴールの円盤が重ねられている。


『Henry Darger's Room 851 Webster』インペリアルプレス、2007年4月、23頁、部分。

円盤は左の蓄音機よりも大きいので、レコードではないだろう。

研究者によれば、ダーガーは所有するレコードの曲名をリストにしていたという。

大きなラッパ付きの蓄音機は残ったが、レコード・コレクション(ヘンリーは曲名を几帳面に一覧表にしていた)は業者に売却されてしまった。

Happily his record player with its huge horn remained, but his large record collection, which he had catalogued with such care, was sold to a dealer.

ジョン・M・マグレガー(小出由紀子訳)「ヘンリー・ダーガーの部屋 変容するアウトサイダー・アート空間」『Henry Darger's Room 851 Webster』インペリアルプレス、2007年4月、66頁(英文79頁)。

ダーガーに関するいくつかの本を見てみたが、彼のレコード・コレクションについてはそれ以上の言及は見つけられなかった。

いったい、ダーガーはどのような音楽を聴いていたのだろう。彼の孤独な世界の中で、ヴィヴィアン・ガールズの物語にはどんな曲が付けられていたのだろう。




アール・ブリュットつながりで。



尾崎文彦の元気 無垢の眼II


0 件のコメント:

コメントを投稿