メモランダム。
石洞美術館ではこれまで古伊万里展やマイセン展を見てきたので、あるいは当代作家の工芸品を見てきたので、それに類する作品の展示を想定していたのだけれども、違った。縄文・弥生から江戸末期まで、まさに「日本のやきもの」の通史。それに加えて、当代作家の陶磁コレクションの展示でした。
扱われている地域も様々で、伊万里、有田、波佐見のコンプラ瓶もあれば、陶器時代から磁器時代までの万古、瀬戸、唐津、常滑等々。
ものも様々で、土偶、須恵器、埴輪、甕、茶碗、皿、ぐい飲み、香盒……さらには、輪トチンと呼ばれる窯道具まで。
館蔵品ということはコレクション展。ならばいったいどういうコンセプトで集められたのか気になるので、その解説が欲しかったところ。
会場構成:当代コレクションは1階の小コーナー。企画展示は縄文から江戸へと時系列で。なので勉強になると思うのですが、じつはそれ以上に個性的な作品と、ユニークなキャプションに印象づけられるのです。
たとえば、「染付団龍鳳凰文水屋甕」(19世紀、瀬戸)の龍の顔が楽しいとか。
「狸香盒」(19世紀、仁阿弥道八)とか。
また、面白いキャプションとしては、
島田風の髪型で首にネックレスを付けた「埴輪女性頭部」(6世紀、群馬)。「雑誌への掲載のために、この埴輪を撮影にきた写真家の土門拳は、この埴輪を一目見るなり『新橋芸者だー』と叫んだという逸話が残っている」。いや、確かに芸者風の髪型なのだけど ^^。
Wikipediaを見てみると「古墳島田」という言われ方をするのですね。へえええええ。
島田と同じ折り返す形の髷は古墳時代の女性埴輪にも見られ、便宜上この「古墳島田」も島田髷に分類することがある。ただしこれは根が極端に低く(と言うよりは当時は髷の根という概念自体なかったと思われる)折り返し部分を扇のように広げるもので一般的な島田とはまったく異系のものである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/島田髷
もうひとつ、日本陶磁器協会理事長を務めた田辺加多丸氏の旧蔵品の「灰釉壺」(16世紀、信楽)。
「氏はこの作品の濡れた肌の調子を愛で、一緒に入浴して、濡れた肌の景色を楽しんだという逸話があります」。
まっく数奇者ってやつは。
江戸期の有田や瀬戸のほかは、明治大正をすっとばして昭和の大作家の作品。荒川豊蔵、富本憲吉、浜田庄司らの大皿……石黒宗麿のぐい飲みもありました。そのなかでも、舩木研兒「黄釉蛸絵大鉢」(1991)のタコがとくに素敵。
とりとめのない感想は以上です。
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