mt博。
前回のつづきです。
女子の目当ては、会場限定のテープ。
mtが並べられた箱には、お一人様10個までの注意書きあり。
それでも、最終日ということもあり、空っぽになったケースが多数。
というよりも、ほとんど残っていなかったのではないでしょうか。
会場のメインは、建物や室内に張り巡らされたmtのインスタレーションと物販。建物2階の片隅、和室に設けられた「カモ井加工紙」の歴史コーナーは人も少なく静かでした。
なんともったいない。
私が記すまでもありませんが、マスキングテープ「mt」の製造元であるカモ井加工紙は、1923年(大正12年)に岡山に創業した「ハエ取り紙」メーカー。紙+粘着材という商品の特性から、1961年に紙粘着テープの発売を開始。
1981年にはシーリング用マスキングテープを発売。
2002年の日経ビジネスによれば、シーリング用マスキングテープ市場におけるカモ井加工紙のシェアは約70%(『日経ビジネス』2002年7月15日号、61頁)。カモ井のホームページによれば、現在のシェアは60%程度のようです。
個人向けマスキングテープ「mt」開発の経緯については、これまたカモ井のホームページが詳しい。
「mt」のテスト発売は、2007年秋。
2008年2月には20色を発売。
当初カラーのみのバリエーションであったが、2008年3月には柄物が登場。8月には細幅タイプを、2009年には太幅タイプを発売(『日経デザイン』2011年1月号、21-23頁)。
2008年の月商は1000万円超(日経流通新聞、2008年6月25日、28頁)。
2010年6月には、カモ井加工紙の売り上げの1割を占める商品に(『日経トップ・リーダー』2010年6月、101頁)。
そして、発売から2年半で、十数億円の売上を達成する事業に成長(『日経デザイン』2011年1月号、21-23頁)。
もとより広告宣伝に力を入れていたとはいえ、カモ井本体のホームページは、おしゃれな文具とはほど遠い、質実剛健なデザイン。
製品もプロフェッショナル向け。
プロモーション活動も、シーリングテープを買うとオリジナルカップ麺がもらえるとか、ブルゾンが当たるとか、現場向け。
そんな会社がデザインのチカラで新たな事業を立ち上げたわけです。
ものづくりの技術と、デザインとが組み合わさり、新たな製品と市場を作りあげる。デザインに携わる者としては、じつに勇気づけられる事例ではありませんか。
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