もう1ヵ月前になりますね。
いや、じつにくだらない展覧会でした(←褒めてます)。
もらってもまったくうれしくないだろうお土産品。
旅行に行ったら記念の品を買って帰らなければいけないという旅行者の強迫観念的需要と、目立った名産品はないにも関わらず必死に需要に応えようとする供給者とのタッグが生み出したと思われる妙な品々。
こうしたヘンなものを見出し、蒐集し、分類して名前を付ける。みうらじゅんの才能のすばらしさ。
そうそう、名前を付けることは重要。名前をつけることで、私たちはそれを可視化できる。どこの観光地にもありそうなものだけど、目がスルーしている。それに名前を付けることで、私たちはその特徴に注目し、他のものとの違いを認識するのです。そのためのトリガーが名前。
「ヤシやん」とか。
「甘えた坊主」とか。
「ヘンジク」とか。
「カスハガ」とか。
「フィギュ和」とか。
名付けのセンスがすばらしい。
名付けによってカオスの世界が魅力溢れるオブジェになる。
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展覧会ではしばしば作者や学芸員による解説ツアーなるものがあるわけですが、「いやげ物」展では、実物を映しながらの本人による映像解説がありました。「いやげ物」の概念と見所とを余すところなく伝えていて、とてもよかった。
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ところで、「いやげ物」とはそもそも「もらってもうれしくないお土産」だはずなのですが、とても欲しいものがありました。
それはこちらの海女さん。
白い脚がとてもセクシーなのです。
※手前のむめさんではありませぬ。
木をロクロで挽いてつくったパーツを組み合わせている単純な構造。
よく見ると盥を支える腕が腰から生えていたりして、意外にも高度な抽象化がなされています。
胴体と首や脚の接合部は手ぬぐいで上手く隠されているなど、デザイン的にも優れた処理。プロの仕事とお見受けします。
千葉のお土産だそうなのですが、見かけたら買いたい。見つけた人はお土産にください(笑)。
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展覧会では「プリ貝の世界」と題して紹介されていた貝細工。
じつは、私もいくつか持っているんですよ(笑)。
以下に紹介しますね。
これもまたカワイイ。
江ノ島のお土産品です。
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「いやげ物」という概念は、旅行者の、とおりすがりに手に入れたものについてのひとつのものの見方です。ちょっとひねくれた角度から見てみると、同じものが面白可笑しくなる。そういうものの見方の提示なのです。あくまでも受け手の問題。だから、つくり手がなぜそのようなものを生み出したのか、というところまでは迫っていかない。それは仕方がないし、そもそもそういう意図はないと思われる。
でもどうなのでしょう。
たぶん、つくり手は大まじめだったのではないか。
もらった人をがっかりさせようとか、へんに笑わせようという意図でつくったのではないのではないか。だとしたら、どうしてこのようなものたちが生まれたのか。そういった部分を知りたくなります。
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