
| iidabashi | apl. 2016 |








人間の肉眼には絶対に不可能であるような、巨視的でありながらも微視的な視覚。それはまさに「神の視覚」と呼ぶにふさわしい。そこで時間はいっさいの動きをとめ、永遠性のなかで定着された一瞬の相貌を、われわれのまなざしに向けて晒しつづけるのである。
竹峰義和「〈統御された崇高〉の美学──アンドレアス・グルスキー展レビュー」



「あれほど人々の懐に入り込んでいるにもかかわらず、また収録写真は人間の姿がほとんどであるにもかかわらず、接写した数が少ない。どこか距離を置き、まるで現地の生活を侵さないように周遊している。その場にいることは被写体に認知されながら、シャッターを切る瞬間は悟られていないような。」★2
「わたしは路上に立ち、求める対象が気に入った場面の中に姿を現すと、シャッターを切る。」「この本に残されている写真は、ある時、ある場所で、わたしの眼前に現れた事物から掬い採った影なのである」★3。





















1978年、初めての被写体にストリッパーを選んで以来、女性をモデルとした作品を数多く発表してきた彼女は一貫して、女性たちが生まれながらにしてまとう華やかさと儚さ、内面から湧き出る美や苦悩、憂いを写し出してきました。その被写体にはマドンナ、シャロン・ストーン、ケイト・モス、ソフィー・マルソー、シンディ・クロフォードなど、映画や音楽、ファッション界で一時代を築いた魅惑的な女性たちが名前を連ね、レンズの前で飾り気のない心情や濃厚な人間性を惜しげもなくさらしています。


ポール・フスコ Paul Fusco 1930-
「ある夏の暗い日、『ルック』マガジンの編集者は、私が事務所に着いて顔を見るなりすぐに切り出した。「ポール。ボビーの棺をワシントンDCへ運ぶ列車がペン・ステーションからでる。それに乗ってくれ。」私はきびすを返し、カメラとフィルムを持って電車に乗った。」(ポール・フスコ)
現在マグナム・フォトのスタッフ・フォトグラファーとして雑誌や新聞などに記事を掲載するフスコが、まだ駆け出しの頃に携わった仕事は、暗殺されたロバート・F. ケネディの棺を運ぶ列車の窓から、追悼する人々の姿を撮影することだった。1968年6月5日、NYからワシントンDCまで通常4時間の走行距離を、ゆっくりと走るFuneral train(葬式列車)。それを見送る大勢の人たち。フスコは8時間のあいだ、コダクロームで2000カットを撮影するが、『ルック』マガジンは、結局この写真を掲載せず、長い間日の目を見ることはなかった。30年の沈黙を経て、90年代末からヨーロッパに出はじめた「RFK Funeral Train(ロバート・F. ケネディの葬式列車)」を本展では紹介。

On that dark summer day, shortly after I arrived at the office, William Called me. As I entered his office he looked up and said, "Paul, there's a train at Penn Station that's going to take Bobby's coffin to Washington, D.C. Get on it!" It was a command. I turned around, got my cameras and film, and got on the train, stopping first to photograph the memorial services at St. Patrick's Cathedra.
Paul Fusco, RFK, Aperture edition, Sep. 2008, p. 223.








ポール・フスコ Paul Fusco
アメリカ人
1930年マサチューセッツ生 -
ニュージャージー在住
1930年、アメリカのマサチューセッツ州に生まれる。
1940年代より写真に興味を示し、1951年から3年間写真家としてアメリカ陸軍通信隊に所属する。1957年、オハイオ大学でフォトジャーナリズムの学士号を取得。同年より1971年の長きに渡り「ルック」誌を代表する専属写真家として活躍し、アメリカ各地を取材した。
1974年、多くのマグナムの写真家の推薦によって正会員として迎えられた。70年代には、集中して4冊もの写真集を出版、一躍名声を得た。
個展もニューヨークやサンフランシスコで開催され、またメトロポリタン美術館やニューヨーク近代美術館でも作品が展示され、大きな反響を呼んだ。最近では、メキシコのサパティスタ、エイズ問題や、チェルノブイリ事故の後遺症問題などに取り組んでいる。
2000年には、1968年のロバート・ケネディの遺体を運ぶ列車の中から沿道の人々を撮影した写真集「RFK Funeral Train」を編纂し、大きな反響を呼ぶ。世界各地で展覧会も開かれた。
http://www.magnumphotos.co.jp/ws_photographer/fup/index.html



